ファイルを大量に扱う人におすすめ、パーソナルクラウド「WD My Cloud」が良くできている
クラウドストレージでは、「Dropbox」などの各種ウェブサービスを利用するのが一般的だ。しかし、無料の範囲内で済んでいるうちはいいが、保存しているファイルが増えてくると有料プランへの加入が必要になり、それなりにコストがかさむ。また、アップロードに時間が掛かるという弱点もある。
そんな問題を一気に解決してくれるのが、ウェスタンデジタルのパーソナルクラウドストレージ「WD My Cloud」。NASなのだが、専用のソフトウエアが良く出来ていて、まるで各種ウェブサービスのクラウドストレージのように利用できる。
価格ドットコムで調べたところ、価格は容量2TBのモデルが2万4000円台、3TBが3万3000円台、4TBが4万2000円台、6TBが6万円台となっていた。他のNASと比べるとちょっと高いのだが、ウェブサービスの有料プランを何年間も使うのに比べれば安いようにも感じる。
設定は難しくない。利用できるアプリも多い
ネットワークの設定は難しくない、でもマニュアルを読まないとまず無理だ。マニュアルは同社のウェブサイトにPDFが用意されている。他のNASと同様、基本的にはドライブとしてネットワーク上に表示される。ブラウザーベースの専用アプリ「ダッシュボード」では、ストレージ容量のチェックや共有の設定といった管理全般が行える他、いくつかのソフトが利用可能。例えば、バックアップ専用ソフト「WD SmartWare」なども用意されている。利用することになるアプリの数が多いのでちょっと戸惑う、数時間使えばだいたい理解できるだろう。
「WD SmartWare」を使って約5GBほどのフォルダーを有線LANでバックアップしてみたところ、バックグラウンドで処理され、1時間も掛からずに終わった。同じフォルダーをウェブサービスのクラウドストレージにアップロードするとなると、環境によっては半日作業になるはずだ。ファイル転送が速いのは大きなメリットだと思う。しかも、1度バックアップを作成すれば、以降は差分をチェックして変更のあったファイルだけを自動でアップロードしてくれる。
外出先からアクセス可能。写真バックアップも便利
WD My Cloudは外出先でも使えるのがありがたい。ノートパソコンなどに「WD My Cloud」というソフトをインストールすると、WD My Cloudに保存してあるファイルに外出先からアクセスできるようになる。ネット環境さえあれば、自宅やオフィスにあるストレージのファイルをいつでも開けるのだ。しかも、各種のオンライストレージをブラウザーで利用するよりもはるかに分かりやすく、作業もしやすい。一方、スマートフォン向けには「WD Cloud」というアプリも用意されており、パソコンで保存したファイルなども簡単に開ける。反対に、スマートフォンで撮影した写真などをWD My Cloudにバックアップすることも可能。万一、スマートフォンを壊したり、なくしたりしても大事な写真は保持されるのだから安心だ。大量にたまった写真を整理するときも、パソコン上ならより素早く表示・作業できるだろう。
容量を拡張できるポータブルHDDもある
ウェスタンデジタル製のポータブルハードディスク「My Passport Ultra」に3TBのモデルが追加されたので、これもレビューしておこう。WD My CloudのUSBポートに接続して容量を増やすこともできる製品だ。スマートフォンの外付けバッテリー程度の大きさで3TBという大容量なのだから恐れ入るが、価格は3万3000円台。もちろん、ニーズに合わせて500MB、1TB、2TBのモデルを選んでもいい。
このポータブルHDDにもバックアップツールが同梱されており、パソコンに接続すればファイルを簡単に転送できる。外出先で作成したファイルやデジカメの写真などを2重化しておきたいときにはおすすめだ。ウェブサービスのクラウド等にバックアップするのもいいのだが、大容量ファイルの転送には時間が掛かる。しかも、外出先では通信速度が遅くてまともに使えないケースもままある。やはり最後はローカルが安心で確実だ。
大事な仕事ではパソコンに加えて、別の方法でも同じファイルを持参しているのだが、USBメモリーでは動画などが入りきらないことがある。しかし、My Passport Ultraなら余裕だ。
今回取り上げた2製品は実売価格もまだこなれていないため、もう少し安くなることを期待したい。特にWD My Cloudは、非常に便利なので仕事で大量のファイルを扱う方には強くおすすめする。
ポータブルハードディスク「My Passport Ultra」に3TBの大容量モデルが登場した |