ウエスタンデジタルがサンディスクを買収。約190億ドル(2兆2800億円)の超大型契約
(※注:日本のコンシューマーブランドイメージからすると逆のようにも思えますが、間違いではありません。サンディスクが買われる側です)
米国ウエスタンデジタル(WD)と米国サンディスクは21日(現地時間)に、WDがSanDiskを買収することで合意したと公式に発表しました。大手ハードディスク(HDD)メーカーが大手フラッシュメモリ製品メーカーを買収するという形となります。
支払いは現金と株式の双方で行なわれる形式で、総額はなんと約190億ドル。日本円換算で約2兆2800億円という、大型買収となります。
さて、あまりの額の大きさや、両社ともその筋では有力なメーカーであるという立場も相まって、唐突な印象もある今回の報道ですが、実は数週間前より、サンディスクは買収パートナーを探している状態という報道がなされていました。
10月14日には、ブルームバーグが自社ニュースで、サンディスクに事業売却の可能性がある点、そしてメモリ大手の米国マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタルが関心を示している点を報道。
このころから、サンディスクの事業売却の可能性はある程度以上信憑性があり、さらに近日中に動きがあるのでは、という予測がアナリストなどの間で出ていたという状態です。
▲東芝とサンディスクが設備投資を行う、東芝 四日市工場の新第2製造棟
両社のプレスリリースで大きなポイントとして触れられているのが、サンディスクが東芝と結んでいる協業関係や、合弁会社である『フラッシュフォワード』などが、今回の買収による影響を受けないという点。
この協業はサンディスク製品の「源泉」ともいえるポイントだけに、ここに関して慎重となるのは当然ですが、実際に東芝は10月21日付けで、サンディスクとの間で四日市工場への設備投資契約を締結したことを発表しています。
この設備投資契約は、主にNANDフラッシュメモリの大きな世代交代となる三次元フラッシュメモリチップに向けたもの。その意味では、通常の提携よりさら に重要性が高いタイミングとなります。その点でも、WDはこの協業に影響のない形での買収を進める必要があるでしょう(また、実際そうするはずです)。
なお、東芝-サンディスクの三次元フラッシュメモリチップに関しては、発表当時の記事を参照ください。これは東芝側の仕様ですが、サンディスク側でも基本 は共通したものです (若干余談ですが、東芝側の名称である『BiCS』とは、Bit Cost Scalableの略。ともすれば身も蓋もないほど正直な命名です)。
東芝、48層32GBの三次元積層フラッシュメモリBiCS FLASHを9月出荷。大容量・高速・長寿命化
現在WDはハードディスク(HDD)を中心にストレージ分野で世界最大級のメーカー、サンディスクはフラッシュメモリ関連メーカーとしてやはり世界最大級 という地位。SSDの分野では、サーバー向けの高速SSDメーカーFusion-ioを傘下に持ち、さらにコンシューマー分野でも自社製SSDの売り込み に力を入れている状況でした。
こうした両社が一つになることで、HDDからSSD、メモリカードまでを幅広く手がける総合ストレージ製品メーカーが誕生することとなります。WDとサン ディスクのストレージ製品はPCをはじめ、IT機器やガジェットの広範囲で使われているため、当然ながら影響力は非常に大きいものとなりそうです。
プレスリリースでもこの買収による影響として、「買収後のWDがより大きな規模で革新的な製品と広範な技術のポートフォリオを提供する能力を持つ」旨をアピールしていますが、両社の現在の規模を考えても、これだけの力は十二分にあるものでしょう。
今回の買収は、ともすればSSD分野での競争促進や、実は大手メーカー製PCや家庭用ノートPCなどではほとんど進んでいないHDDからSSDへの移行な どの後押しとなりそうな動き。さすがにすぐに影響が出てくるという性格ではないと思われますが、期待して待ちたいものです。