4KディスプレイのXperiaは本当にキレイなのか? iPhone 6sと比べてみた
スマホブームも一段落してきた感が否めないところだが、高級モデルは日夜進化を続けている。高解像度化競争も著しく、ついに4Kモデルまで登場した
のだから驚かされる。ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z5
Premium」は、5.5型液晶を採用し、解像度は2160×3840ドットだ。
50インチクラスのテレビが4Kで高解像度をウリにし、13インチクラスのノートパソコンでさえ4Kならスゴイと感じるのだけに、その緻密さは驚異としか言いようがない。
今回は、発売前の試作機を借りることができたのでさっそくレビューしていこう。試作機なので、写真やCPUの性能はチェックしないことにする。また、いくつか気になった点にも言及していくが、製品では改善されている可能性もあることをご了承いただきたい。気になるモデルの情報をいち早くお届けしていこう。
本体のサイズは「iPhone 6s
Plus」とほぼ同様。要するに大型モデルだ。多くの人が片手持ちのスワイプで入力するのは厳しいだろうし、手の小さな人は握るのも辛そうだ。ただ、僕個
人としては、iPhone 6
Plusの時代から大画面モデルに慣れているので、このくらいがちょうど良いと思っている。使い慣れてしまえば、「大は小を兼ねる」と思うはずだ。
サイズは「iPhone 6s Plus」とほぼ同様の大画面モデルだ。
本体のデキはiPhoneに軍配が上がる
Xperia Z5 Premiumを手にして最初に感じたのが「従来モデルとあまり変わらないな」ということだ。従来のXperiaシリーズ同様の角張ったデザインでそれなりに高級感はある。だが、iPhoneほどの薄さはないし、全体にあっさりしているのだ。
外観の特徴は、ミラーになっている背面だろう。確かに美しく、周囲が映り込むのも斬新だ。指紋が付きやすいと懸念する人もいるだろう。確かに指紋は付く。だが、これは使っているうちに気にならなくなるはずだ。そもそも、スマホは画面側に盛大に指紋が付いているのだから。
個人的に残念だったのが細部の仕上げだ。背面のミラーや液晶と周囲のパーツの間にごくごく細かな隙間があり指先に段差を感じる。まあ、その段差を
気にしないとしても、困るのがゴミが詰まることだ。目に見えないような小さなホコリがその隙間に入り込んで、キレイにするのがとても面倒だ。特に黒ボ
ディーだとホコリが目立つ。気にならない人は問題ないのだが、潔癖な人はイライラしそうだ。
最高級モデルらしく、パーツのつなぎ目には一切の隙間を感じさせない仕上げを期待している。iPhoneはそれができてるのだから。
背面のミラー仕上げはとても美しく、映り込みすら素敵だ。
極薄というわけではなく、デザインはあっさりしている。
ガラスと周辺パーツの間に微妙な段差や隙間があり、ホコリが入ると目立つ。
液晶は抜群に精細だが暗く感じる人も
最大の特徴である4K解像度の液晶ディスプレイだが、パッと見てそれと気づく人はまずいないだろう。そもそも写真やビデオ以外はフルHDで表示するようだ。
写真やビデオを表示したとしても、一瞬で解像度のスゴさを体感するのは難しい。フルHDのiPhone 6s
Plusと並べても、第一印象として「暗いな」と感じる人が多そうだ。どちらも最高輝度にして比較すると、Xperia Z5
Premiumは明らかに輝度が落ちる。とはいえ、僕の場合はiPhone 6s
Plusを最高輝度では使わず、6〜7割程度に抑えて使っている。その状態とXperia Z5
Premiumの最高輝度が同じ程度だ。暗くて物足りないことはなさそうだが、これは使い方にもよるだろう。
映像を比べてみると、Xperia Z5
Premiumのほうが美しく感じる。深みがあるというか、立体的で見ていると吸い込まれそな緻密さだ。フルHDのiPhone 6s
Plusでも、画像のざらつきはまったく気にならない。ところが、写真を見比べてみると、さすがに4Kはくっきりしている。例えば、木の葉と背景の境目を
見ると、エッジがとても滑らかでスムーズなのだ。
細かな部分を見比べなくても、「ちょっとキレイだな」と感じる人は少なくなさそうだ。
さらに、画面を拡大撮影してみると、ドット感がまるで違うことが分かる。恐らく、実際にはドットが見えていなくても、ざらつきのなさがスムーズな画像として感じるのだろう。
ディスプレイは、iPhoneと比べると暗いと感じる人が多いだろう。
斜めから見るとより差が顕著になる。
画面の明るさではiPhoneに負けているが、よりリッチで美しいのはXperia Z5 Premiumだ。
液晶をマクロで撮影してみると、ドット感がまるで違う。上がiPhone 6s Plus、下がXperia X5 Premium。
上の画像を部分拡大したカット。同じく、上がiPhone 6s Plus、下がXperia X5 Premiumだ。
カメラもスゴイが、ちょっと懸念点も
カメラは2300万画素と非常に解像度が高い。オートフォーカスも0.03秒と高速なので、テキパキと撮れる。今回は画質のチェックはしないが、それでも美しい写真が撮れた。
メニューもXperiaシリーズに共通するタイプで、分かりやすく、またエフェクトなどの楽しい写真も撮影できる。
少々懸念されるのが4K動画の撮影だ。この液晶だから、どう考えても4Kの動画を撮影したくなるだろう。実際に撮って表示してみても非常に美しく、ほれぼれとしてしまう。
ところがだ、撮影前に
「本体が過熱したら中断する……」といったメッセージが表示される。確か、以前のXperiaにも同様のメッセージが表示さ
れた記憶があるのだが、これはいただけない。大事な旅行先での動画などが、突如中断されるとなると僕は使う気になれない。4K動画は大変魅力のある特徴の
ひとつなのだから、メモリーの容量までは問題なく撮れて当然だと思う。iPhone 6s
Plusでは、いまのところ問題なく長時間の4K動画も撮れている。
なお、Xperia Z5 Premiumは普通に使っていても、本体裏側の上部に熱を感じる。熱いとまでは思わないが、かなり温度は上がる印象なので、少々心配だ。
バッテリー容量はかなり大きめだが、実際に使ってみると、3時間ほどテストしたら43%まで減った。4K動画の撮影や再生を何度もしたので、ヘビーな使い方なのだから致し方ないだろう。とはいえ、そのモデルの特徴である機能をガンガン使ってどの程度持つのかが、ユーザーにとっては重要だ。液晶を最高輝度に設定して、4K動画を頻繁に撮るとかなり厳しそうだ。
テキパキと撮影できるのはなかなか好ましい。
4K動画撮影前のメッセージ。いつ中断されるか分からないビデオ撮影機能は、ちょっとよろしくないと思うのだが……。
突き抜けた魅力はないがお薦めだ
最新のAndroidスマートフォンを選ぶなら、Xperia Z5 Premiumは間違いなく候補の1台だ。特に、機能・性能にこだわるテッキーなご同輩には最良の選択肢と言えるだろう。
ただし、実物を手にしてみても圧倒的なポイントがあるわけではない。4K液晶は丁寧に見れば明らかに違うし、とても魅力的なのだが、周囲の人から
「おっ、すごいですね!」と言われるほどの違いはない。もはや、多くのスマホが美しい液晶を搭載し、それで満足している人も少なくない。分かりやすく言う
なら、オーバークオリティーの感が強い。デザインもキレイで整っているが、おとなしめなので、購入のテンションは上がらない。
高級モデルに求められるポイントをバランス良く網羅しているものの、「これぞ!」といった特徴に欠けるのが残念。Androidスマートフォンの
中では、間違いなく3本の指に入る魅力的なモデルなのだが、iPhoneユーザーの乗り換えを促進するほどの突き抜けた魅力は感じられなかった。