金曜日, 6月 28, 2013

LinkStation LS421D|BUFFALO DLNAサーバー機能搭載NAS

バッファローから世界初のDSDファイルDLNA配信対応NAS、ネットワークオーディオに最適化



バッファローがネットワークオーディオ向けのDLNAサーバー機能を搭載したNAS「LinkStation LS421D」を発表しました。

オンライン販売が盛んになってきた各種ハイレゾ音源に対応するとともに、もともとDLNAで配信可能なファイル形式に含まれていない DSD ファイルの DLNA 配信にも世界で初めて対応します。

​このところネットワーク対応コンポなどでも DSD 再生対応の波が広がっていることもあり、DLNA 経由で手軽に DSD を配信・リスニングできることには大きなメリットがあります。またDSDに限らず、なにかと容量の嵩張るハイレゾ音源の置き場所として活躍しそうです。


LS421D が搭載するサーバーソフトウェアには Twonky Media Server 7.1。DLNA サーバー以外の機能は最初からオフにするなど、オーディオストリーミングサーバー機能に特化した初期設定となっています。対応するハイレゾ音源の形式は、 WAVE、AIFF、FLAC、ALAC、DSD64(2.8MHz)およびDSD128(5.6MHz)。

バッファローでは、DSD の DLNA 経由での再生を確認できた機器として、パイオニアの SC-LX57、VSA-1123、SC-2023、スフォルツァートの DSP-03 をあげています。また動作確認機器はバッファローのサイトで順次公開していくとのこと。

対応する音源購入元としては、e-onkyo misic、OTOTOY のハイレゾ音源で動作確認済みとしています。

パイオニア SC-LX57             スフォルツァート DSP-03


内蔵する HDD は 2TB x 2。RAID 1(ミラーリング)構成なため、実際に使用できる容量は 1.8TB ほどです。設定によりRAID 0(ストライピング)構成とすることも可能。入出力端子は、ギガビットLANx1、フロントにUSB 3.0 x 1、背面にUSB 2.0 x 1。

大きさは幅87 x 高さ127.5 x 奥行205mm。カラーはガンメタリック。発売は7月下旬、店頭予想価格は7万4800円です。




DSD(Direct Stream Digital)規格

ものすごくざっくりと解説すると、CD などで用いられるリニア PCM(パルス符号変調)では一定周期でその瞬間の音を量子化してサンプリングしているのに対し、DSD の PDM(パルス密度変調)方式ではサンプリング周期を2.8MHzまたは5.6MHzに高めて、1bitのパルス信号の「密度」を記録します。これにより、従来のCDなどで用いられたリニアPCMよりもアナログ的でより原音に近いサウンドが再生できると言われています。

BUFFALO


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コイン型 Bluetoothトラッカー StickNFind が SDK公開

コイン型 Bluetoothトラッカー StickNFind が SDK公開、独自アプリの開発に対応





クラウドファンディングを経てめでたく一般販売中の Bluetooth トラッカー Stick-N-Find が、対応アプリ開発用のSDKをリリースしました。特定業務用やゲームなど、独自のアプリを書いて Stick-N-Find トラッカーを利用できるようになります。




StickNFind は、直径24mm・厚さ4mm・重さ4.5gのコイン型 Bluetooth 4.0 通信機。Bluetooth 4.0 Low Energy 対応の Android 端末や iPhone と接続すれば、アプリを通じて見通し約30mの範囲内でおおよその距離を取得できます。

(上の「レーダー」画面はそれらしい表示になっていますが、実際に分かるのは距離だけなので、方向はユーザーのほうが動いて遠ざかるか近づくかから判断す る必要があります)。またブザーとLEDライトを内蔵し、アプリからリモートで鳴らすことが可能。

標準アプリの機能は、「くっつけて見つける」の製品名どおり、リモコンやキーホルダーなど脱走しやすいものにあらかじめ付けておいてアプリから見つけるこ と。ペットの首輪やこどもの靴、かばんなどにつけておき、一定距離から離れたり圏外になったら、圏内になったら警告する機能もあります。

今回SDKが公開されたことで、特定の管理業務やゲームなど標準アプリにない使い方をしたり、既存のアプリに StickNFind対応を組み込むといったことができるようになります。

StickNFind タグは2個で49.99ドルから、10個セット199.99ドル、20個389.99ドルで販売中です。

サングラス型端末 Recon Jet|Recon Instruments

サングラス型コンピュータ Recon Jet 予約受付開始、期間限定で499ドル

 



スキーゴーグル用のヘッドアップディスプレイを販売する Recon Instruments が、スポーツ用のサングラス型端末 Recon Jet の予約受付を開始しました。7月21日までに予約すれば、一般販売価格の599ドルより安い499ドルで先行予約版 Pilot Edition を購入できます。




Recon Jet は長距離走や自転車、トライアスロンなど屋外スポーツのアスリート向けに、ハンズフリーで視界の下に各種の情報を表示するデバイス。

サングラスの横から伸びたアームにWQVGA解像度のマイクロディスプレイを備え、画面は「約2m先にある30インチモニタ相当」として視界の下に映りま す。

中身は Cortex-A9 デュアルコア1GHz 、1GB RAM、8GBフラッシュメモリ、OSは Androidベース。加速度計やジャイロ、地磁気センサ、気圧計・温度計、GPSなどの各種センサを備えるほか、Bluetooth 4.0 LE や ANT+ で心拍計やケイデンスセンサなどスポーツ用の外部センサとも連携します。




(HUD表示の例)




そのほか 720p動画が撮れるカメラ、スピーカーとマイク、802.11b/g/n WiFi も内蔵。アプリによって機能を追加でき各種競技に対応するほか、スマートフォンなどと接続すれば着信やメッセージの確認などにも利用可能です。

499ドルの Pilot Edition は7月21日まで予約を受付中。高い送料を払えば日本にも発送してくれますが、出荷は今年12月からの予定です。

Introducing Recon Jet: Groundbreaking Heads-Up Display from Recon Instruments from Recon Instruments on Vimeo.

食べてやせる!?「夜に食べると痩せ体質」になる朝に食べがちな食材とは?

「夜に食べると痩せ体質」になる朝に食べがちな食材とは? 

 

 

「もうすぐ夏なので、なんとしても痩せたい!」と思いつつも、「簡単に痩せられたらいいな」と思いませんか? 
今回は、寝ている間にダイエットしやすくしてくれる“夜に食べるとダイエットに効果的なもの”を4つご紹介したいと思います。とくに今回は、甘い食 材が多いので、甘いものが好きな人は要チェックですよ。


■寝る前の食べ物がダイエットに効く訳
寝ている間に分泌される成長ホルモンが鍵です。実は、成長ホルモンが一番分泌されやすいのは、寝てから直ぐのノンレム睡眠の時。この時に体が栄養不 足だとせっかくの成長ホルモンが作られません。
まずは成長ホルモンの材料であるアミノ酸が、しっかり摂れていることが必要になってきます。とは言いつつも、寝ている間は吸収が進むため、寝る前に お肉やお魚などをたっぷり摂るのは胃腸に負担になります。
そこで、できる限り消化が良くて、アミノ酸がしっかり摂れるものを4つ挙げてみました。

■バナナ
バナナにはアルギニンというアミノ酸が豊富です。「スルメでキレイになれ る!? ホルモン分泌を刺激する食べ物」でもご紹介したように、アルギニンが血中に入ると成長ホルモンの分泌が促されます。しかし、スルメだと消 化吸収に時間がかかるため、同じアルギニンたっぷり食材ならバナナがオススメです。

■ヨーグルト
みるみる 健康美人になれる!夜寝る前にやるべき美容習慣5つ」でもご紹介していますが、寝る3時間前に食べると、整腸作用が高まり老廃物が体の外に出る準 備をしっかりと行ってくれます。特に便秘気味の人にはイチ推しです。

■納豆
ヨーグルトと似た理由ですが、寝ている間の腸内環境を万全に整える為にも、夕飯には納豆など乳酸菌たっぷりの食事がオススメです。ちなみに、スタイ ル抜群のほしのあきさんの自書にも「納豆は夜食べるのがオススメ」と書いてあるので、かなりの説得力があります。

■ハチミツ
ハチミツはビタミンB群やミネラル、アミノ酸などを豊富に含んでおり、とても質のいい糖分です。寝る1時間前に、大さじ1杯のハチミツを摂取する と、成長ホルモンの分泌が活発化されて、体脂肪がどんどん燃えやくすなります。気をつけたいことは以下の3つです。
(1)ハチミツは加糖のものではなく純粋なもので
(2)寝る約1時間前に大さじ1杯のハチミツをお湯で溶かして飲む
(3)6〜7時間しっかり寝る
栄養が偏りがちな人は、寝る前の1杯のハチミツで効率よく脂肪燃焼を促すようにすると、翌朝からだが軽くなりやすいですよ。



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 original handmade power stone accessary  drop.

  • Autumn Pierce Collection
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nipponnosex

http://sagami-gomu.co.jp/project/nipponnosex/

かみぷろ


木曜日, 6月 27, 2013

燃える石 Pebble candle

近ごろ、日本周辺の海域には大量のメタンハイドレート「燃える氷」が埋蔵されていることが発見された、など盛り上がっているようですが、


こちらは、「燃える石ころ」でございます。




石に火がつくなんて何だか不思議ですね。

実はこれ石じゃないんです。

え、知ってました?

まるで本物の石ころのようなろうそくです。

インドネシアで製造されたフェアトレード商品。
パーム油使用しております。

Mサイズ:高さ6.7×幅10×奥行6.5cm ※Sサイズ、Lサイズの展開あり。

気になる人に送ってみては? ハートに火がつくかもしれませんよw




brand :Fair Trade Original
item :Pebble candle M
color :Charchol Gray
price :¥735-

RESTIRで売っております。

FETISH COOL:音へのこだわりとファッション性を両立させた、音楽ガジェット6選

FETISH COOL:音へのこだわりとファッション性を両立させた、音楽ガジェット6選

 

われわれのライフスタイルに浸透している音楽ガジェットは、実用アイテムであると同時に所有者のスタイ ルを演出する小道具でもある。音へのこだわりとファッション性を両立させた、自己主張できるアイテムを選びたい。




beats by dr.dre:STUDIO
デザインでミュージックラヴァーを主張する


ヒップホップ史上最も成功した音楽プロデューサーのひとりであるドクター・ドレ(Dr.Dre)のBeatsと、著名インダストリアルデザイナーのロバー ト・ブルナーとのコラボによるスタイリッシュヘッドフォンの決定版。新ヴァージョンでは付属ケーブルの機能がアップ。オープン価格beats by dr.dre完実電気 tel.03-3261-2071〉

イヤフォンは赤いきしめんみたいなコードが有名ですね。


Qables.com:iQube V3
手持ちのオーディオプレイヤーをより高音質で


スマートフォンで高音質を楽しみたいなら、こんなヘッドフォンアンプをバンドルしてどうぞ。デジタル音声を内部高精度クロックによって再生しエネルギッ シュな音を実現するiQube V3は、モバイルでの高音質再生のパートナーになる。高級感のあるデザインも秀逸。オープン価格Qables.comタイムロード tel.03-5758-6070〉


フラスコみたいな形状に、トグルスイッチが効いてます。





ATOMIC FLOYD:PowerJax+Remote
耳元に良音とソリッドな美意識を


カナル型という小さなボディに、最新の音響技術はもちろん、所有欲を満たしてくれるクールなデザインをも実現させたことで高い人気を誇る英・アトミックフ ロイドの最新イヤフォン。13.5mmのダイナミックドライヴァーが鮮やかなサウンドを響かせてくれる。¥14,800ATOMIC FLOYDフォーカルポイント tel.03-6447-2987〉






The House of Marley:Bag of Rhythm
カリスマのヴィジョンを具現化したスピーカー


ボブ・マーリーの思想を受け継ぎ、木のマテリアルを積極的に採用、売り上げの一部を慈善事業に寄付するという異色ブランドのドッキングスピーカー。バッグ 型ボディにスピーカーユニットを内蔵、乾電池駆動対応だから、どんな場所でも迫力の重低音を楽しめる。¥34,800〈The House of Marley/テックウインド tel.03-4323-8605〉


何か違う気がする。
たぶんちがう、ボブ・マーリー、こういうことじゃないんじゃないかな、、、
まあいいけど。






TDK Life on Record:A73
ワイヤレスで往年のラジカセスタイルを再現


重低音をブーストさせたパンチ力のあるサウンドを、ハンドル付きの往年のラジカセ風ボディで持ち歩きできるTDKの「Wireless Boombox」。ダンスパーティの会場に持ち寄って仲間たちと音楽を聴く、そんなスタイルをBluetoohのワイヤレス接続で可能にした。オープン価 格TDK Life on Record/ イメーション tel.0120-81-0544〉


かっこいいんだけど、なんかすごくおしい気がする。何がいけないんだろう。 


 

GENELEC:6000A-TM
360°どの方向からでも臨場感ある音を


エルメスに個人名入りバッグ「Mallette・TANAKA」をつくらせたことでも有名な田中肇と、フィンランドの放送用音響機器メーカー GENELEC社とのコラボにより生まれたスピーカー。小さな筒状の外観からは想像もつかない豊かなサウンドをお楽しみあれ。¥63,000GENELEC/ 日本コンテンツネットワーク tel.03-6228-4104〉


( °Д°) な、なんだこれ。

これは初めてみたな。すごい割り切り感。どんな音がするんだろう?

なぜデザインにおける「引き算」は難しいのか?

なぜデザインにおける「引き算」は難しいのか?



シンプルさが受け てヒットすることもあれば、当初はシンプルだったものが、時間とともに複雑になっていく例もめずらしくない。「シンプルさの秘訣は、ずばり引き算の思考ができるかどうか」だ。


TEXT BY MAT HONAN
TRANSLATION BY WATARU NAKAMURA

WIRED NEWS (ENGLISH)


“Beginning?” By Francisca Ulloa (CC:BY)


シンプルさが受けて大ヒット製品が生まれることがある。そして、シンプルな製品はロングセラーにもなりやすい。

サーモスタット「Nest」からフィットネストラッカー「Fitbit」、HDDレコーダー「TiVo」まで、シンプル さがヒットの要因になった製品は多い。人々がNetflixを使うのも、そのシンプルさゆえのことである。また、フィッシャースペースペンやスイスアーミーナイフ、ロレックス・オイスター・パーペチュアルなどのシンプルなプロダクトは、長い年月にわたって売れ続けている。これらはすべて、シンプルさが生み出した奇跡ともいうべきだろう。

ただし、当初はシンプルだった電子機器が、時間が経つにつれてどんどん複雑になっていく例もめずらしくない。登場時の形をとどめ続ける機械仕掛けの製品が少なくないのとは、対照的だ。

たとえば、初期の電子レンジは3つのボタン(高・中・低)とダイアルタイマーしかついていなかった。それに対してLG製電子レンジの最新モデルには、33個もボタンがついている。「このボタンは自動解凍用だろうか、それとも急速解凍用だろうか」、「Less、Moreのボタンには何の意味があるのか」など、たくさんボタンがあるといろいろと紛らわしい点が生じてくる。またボタンがたくさんあるからといって、必ずしも調理が早くできるわけでもなければ、おいしくできあがるわけでもない。そして操作はややこしくなる。電子製品がどんどんと複雑になっていくのは不思議なものである。

「シンプルさの秘訣は、ずばり引き算の思考ができるかどうか」そう話すのは『Design Is a Job』著者のマイク・モンテイロ。「われわれは消費文化のなかで暮らしているが、この世界では多くをこなせることが、すなわち質の高いことと勘違いされている。そのため、製品を提供する側は市場で成功をおさめるために、より多くの機能を提供しようとする傾向がある」。仮に、マイクロソフトがOfficeの次期バージョンで機能を75%削ると発表したら、どうなるだろうか(ずっと使いやすくはなるだろう)。ただし、マーケティングの観点からはそんなことをするわけにはいかない。

アップルを例にとってみよう。同社はシンプルさに救われた企業のひとつで、「iMac」に始まり、「OS X」「iTunes」「iPod」「iPhone」「iPad」とヒット商品を連発してきた。しかし、アップルが強大な企業に成長するにつれ、同社の製品にも複雑さが忍び込んできた。たとえば、iOSの「Newsstand」アプリはその一例。このアプリでは、ユーザーは読みたいものを開く前に、木製の本棚を模倣した安っぽいデザインのアプリを開かなければならない。

さらにiTunesの場合はもっとひどい。「シンプル」をうたう最新版の「iTunes 11」は反応速度こそ軽快になったものの、不要な機能や不可解なインターフェイスが多く残っており、メインの機能──つまり「音楽の再生」が忘れ去られてしまっているようにみえる。それでもアップルには希望が残っている。ミニマル・デザインの主導者であるジョニー・アイヴが、ヒューマン・インターフェイス部門のトップに就任したからだ。同社製品のデザインがシンプルなものへと回帰するのは、ほぼ間違いないだろう。

同じくシンプルなインターフェイスで知られるグーグルの場合も状況は同じ。グーグルは簡素な検索ページで、検索(広告)業界のトップに長年君臨してきた。そのシンプルさは「Google」という言葉が(「検索する」という意味の)動詞になったほどだ。ただし、Facebookが台頭してくるとともに、グーグルの検索ページはほとんどの人が全く使わないような機能やボタンでゴチャゴチャしてきた。さらに悪いことには、検索結果にも手が加えられるようになった。たとえば「ピザ」と検索すると、ピザに関連する広告や「Zagat」に含まれる飲食店の情報、さらにはピザの言葉が含まれるニュースまで表示されるようになってしまった。

そんなふうにして、アップルやグーグルが複雑さの泥沼に足を突っ込むいっぽうで、ネットラジオのRdioや検索エンジンのDuckDuckGoのような、シンプルさを売り物にする新しいサーヴィスが勢いを増しつつある。どちらのサーヴィスもすっきりとしたインターフェイスが人気を博し、熱心なユーザーを獲得している。

また、マイクロソフトも最新OSのWindows 8では、シンプルさを全面に打ち出してきている。同OSのインターフェイスや、見苦しいボタンの類を取り去った全画面表示のアプリは、じつにシンプルなものである……ただし、実際には従来のデスクトップUIも残っていたりする。

シンプルさというのは、実際にはとてもシンプルなことだ。市場の要請に抗って、さまざまな機能を省くだけでいい。新たに何かを付け加える代わりに、何かを取り除けばいい。 つまり、ちょっとした勇気の問題なのではないだろうか。

誰もが知ってるOMEGAにまつわる、意外と知られていない2、3の事柄 「究極」=Ω(オメガ)

誰もが知ってるOMEGAにまつわる、意外と知られていない2、3の事柄



時計ブランド、オメガの名を知らぬ者は、おそらくごく少数に限られるに違いない。しかし、オメガがどのようなフィロソフィをもち、何を大切にしているブランド/メーカーなのかを、果たしてどれだけの人が把握しているだろうか……。宇宙に飛び、深海を旅してきた希代の腕時計のミームに潜む、オメガの本質に迫る。

TEXT BY WIRED.jp_C




エドガー・アラン・ポーが生涯を閉じ、マルクスとエンゲルスが『共産党宣言』を発表した1848年、ルイ・ブランという名の時計師が、スイスの一都市ラ・ ショー・ド・フォンに工房を開いた。これが、オメガの 原点である。

その後、工房を受け継いだ息子たちの手によって生産体制が徐々に向上し、89年には年間生産数10万本を誇る、スイス最大手の時計メーカー(当時の社名は ルイ・ブラン&フィルズであった)へと成長する。

94年、彼らはある画期的な機械式ムーヴメントを発表する。そしてそれが、結果的にスイスの時計産業の行く末を左右することとなった。完成度の高さから、 「究極」を意味するギリシャ文字=Ω(オメガ)の名が冠せられたその新型機械式ムーヴメントは、19の製造工程によって組み立てられていた。分業体制が敷 かれたこの製造ラインの仕組みは、その後スイスの時計産業界のスタンダードとなり、それによって精度と生産性の飛躍的な向上を獲得したスイスは、機械式時 計の世界的な生産地としての礎を築いたのである。

近代時計史に名を刻むムーヴメントの名称であったオメガ(ページ上の動画で、その姿を見ることができる)は、その後正式に社名として採用されることにな る。それは、夏目漱石がイギリスから失意の帰国をし、ライト兄弟が人類で始めて動力によって空を飛んだ、1903年のことであった……。

そんなオメガの名が人類共通レヴェルにまで広がったのは、おそらく69年のことだろう。NASAの課した耐熱、耐寒、耐衝撃などの過酷なテストでは、ほか の時計は風防が吹き飛んだり止まったりしてしまったなか、オメガのスピードマスターだけが唯一合格を果たす。そうしてNASAに公式採用されたオメガ スピードマスターはこの年、アポロ11号の飛行士であったバズ・オルドリンとともに月面に降り立った。さらに翌年、酸素タンクの爆発によって電気系統が故 障してしまったアポロ13号が、スピードマスターを使うことによって奇跡の帰還を果たしたというエピソードによって、オメガに対する信頼性が、ひとつの頂 点に達したと言っても過言ではないだろう。

しかし一方で、このスピードマスターの驚異的な認知度が、オメガのパブリックイメージを一元的なものに押しとどめてしまう結果を招いたことは否めない。特 に割を食ったのが、「ブランド」としてのオメガではなく、「メーカー」としてのオメガがもつ、革新的な部分ではないだろうか。では、メーカーとしてのオメ ガの革新性とは、いったいどのようなものだろうか。実はそれを物語る、ひとつのキーワードがある。「コーアクシャル脱進機」なるキーワードだ。

“脱進機”って何?



“脱進機”とは、機械式時計の心臓部と言 うべき仕組みで、巻き上げられたゼンマイ(オメガは現在、「シリコン製ヒゲゼンマイ」を使用している)がほどける際の回転運動を、振り子のような左右の動き(振幅運動) に変換する装置のことを指す。1800年代に「緩急針付レヴァー脱進機」が開発されて以来、ほとんどのメーカーがこの仕組みを採用し、その後長らく大きな 変化は起きなかった。しかし1978年、天才時計師ジョージ・ダニエルズ博士が「コーアクシャル脱進機」を発明。機械式時計の歴史はここから徐々にに動き 出す。左の図は、ダニエルズ博士によるコーアクシャル脱進機のスケッチ。





コーアクシャル脱進機とは何かを解説するにあたっては、機械式時計のおよその仕組みを理解していただくのがスムーズだ。なので、まずはぜひ上の動画をご覧 になっていただきたい。以下の脱進機のパーツ説明は、動画の17秒あたりの映像をもとにする。

左から、秒針とつながっている「中間車」(シルバー)、「ガンギ車」(赤)、「アンクル」(赤)、「振り座」(半透明)。そして振り座に運動を与えている 「テンプ」(ゼンマイ状の部分)。

これらのパーツによって、脱進機は構成されている。機械式時計の心臓部とも言うべき脱進機は、その構造上、使用を重ねると摩耗してしまう。そのため定期的 に注油をすることが不可欠だ。さらに19世紀から採用されてきた従来の脱進機は、「テンプを蹴り上げる角度」が大きいため、振り子の原理が働きづらく、ゼ ンマイの力をロスしてしまうという欠点があった。

それらの欠点を克服すべく生み出されたコーアクシャル脱進機は、従来、アンクルに埋め込まれたルビーが2つだったのに対し、ルビーの数を4つに増やすこと で、ガンギ車とアンクルの接触面積を抑え、かつ力の伝導効率を上げることに成功。それにより、およそ200年以上にわたり誰も削ることができなかった「テ ンプの蹴り上げ角度」を、10度以上減少させることとなった(精密機械における10度の差がどれほどの意味をもつのかは、想像に難くない)。その結果、振 り子の原理はより働きやすくなり、エネルギーのロスは減り、ショックや姿勢差に強くなり、さらにはメンテナンスサイクルを長くすることにつながったのであ る。

つまりコーアクシャル脱進機は、機械式時計を200年ぶりに進化させることに成功したのである。

コーアクシャル脱進機をオメガが実用化したのは、1999年。しかし天才時計師ジョージ・ダニエルズ博士がこのコーアクシャル脱進機を発明したのは 1978年である。ダニエルズは、コーアクシャル脱進機のプロトタイプをさまざまな時計メーカーにもち込んだものの、開発までの難易度の高さ、あるいは量 産の困難さを理由に、各メーカーともこの世紀のアイデアの価値を読み誤ることとなった。

そんななかオメガだけが、世紀のアイデアを具現化するまでに予想される山ほどの苦難にひるまなかった。当初、開発が成功する可能性がどれほどのものだった のか、知るよしもない。しかし、「たった」20年の歳月で、オメガは機械式時計の歴史の針を大きく進めることに成功したのである。99年に登場したコーア クシャル脱進機は、その後も改良と進化をたゆまず続け、常に最新ヴァージョンのコーアクシャルが、オメガの時計に搭載されているのである。

これは、完成の極みにある芸術品のような機械式時計にも、まだイノヴェイションの余地があると信じる「時計メーカー」の矜持、あるいはパイオニアスピリッ ツがなせる業にほかならないだろう。そんなメーカーとしての気質にこそ、オメガの本質が現れているのではないだろうか。

OMEGA





ひとりで穴に入れて遊ぶ iPhoneアプリ「AMU」

スクリーンの中央 にある丸い穴でヴァーチャルな白球を捕らえるゲーム「AMU」。

いつでも「ひとりキャッチボール」ができる

かなりの運動量が必要。

TEXT BY LIZ STINSON
IMAGE BY JOE DOUCET STUDIO
TRANSLATION BY GALILEO

WIRED NEWS (US)




ニューヨークで活躍するデザイナーであるジョー・ ドゥーセが近所のコーヒーショップにいたとき、見慣れているはずの光景が不意に気になり始めた。「座っている人が全員、背中を丸めた姿勢で携帯電話をのぞき込んでいた。本当に全員が」

携帯電話を使うとき、われわれの活動範囲は平らなスクリーンサイズの世界に限られることが多い。これに気づいたドゥーセ氏は、人々が携帯電話と現実世界、 同時に両方とやり取りできる何かをつくりたいと思った。そうしてできたのがiPhone向けのアプリ「AMU(99セント)」だ。


AMUは人間の知覚をうまく利用した携帯ゲームで、ドゥーセ氏がアプリ開発会社のSirqul社とともに作成した。

AMU - Joe Doucet Studio LPAMUはヴァーチャルなキャッチボールを楽しむアプリだと思えばいい。単純に言うと、スクリーンの中央にある丸い穴でヴァーチャルな白球を捕らえることが 目的だ。とても簡単なことのように聞こえるが、球がスクリーンの外へ飛ぶとなると話は別だ。








「ボールをキャッチするには、携帯デヴァイスをちょっと傾けるだけでなく、自分自身がかなり動かなくてはならない」とドゥーセ氏は説明する(下の動画)。 AMUは手ごわくて、ユーザーを少しイライラさせるが、消えた球が残す視覚的手がかりから、ボールを捕えるためには自分自身が動かなくてはいけないことが わかる仕組みになっている。

ゲームはプレイヤーに、スクリーンに集中すると同時に物理的に動き回ることを求め、機敏さや目と手の協調関係(の有無)をテストしてくる。ドゥーセ氏によ ると、Sirqul社のスタッフたちはゲームをしている最中、自分たちが知らないうちに激しく動き回っていることに気づき、フロントカメラを起動して AMUに興じる自分の姿を録画して友人たちに送ったそうだ。

AMUのデザイン過程は非常に簡単だった。ドゥーセ氏の望みは最初から、現実の空間をスクリーンと同じくらい重要なものにすることであり、モバイルのユー ザーインターフェースの境界線を押し広げることだった。そこを出発点にして、あとはゲームの絵コンテをサッと仕上げ、シンプルなグラフィックスとメニュー を追加するだけだった。

「スクリーン上でゲームのデザインを始めるのではなく、ゲームが自分の周囲の至るところを舞台にして起きるようにすることを考えた」と ドゥーセ氏は語る。「スクリーンをゲームがある場所としてとらえるより、ゲームを見るための入り口のひとつとして考えている」

誰でも簡単に、家のモノとネットをつなぐ「IFTTT」

誰でも簡単に、家のモノとネットをつなぐ「IFTTT」


例えば朝、彼が部 屋を横切って体重計に乗ると、キッチンのコーヒーメーカーが自動的にコーヒーを作り始めたりする。ネット接続された家電が家庭内に溢れるスマートハウスと いうアイデアは、もはや構想の段階ではない。

TEXT BY KLINT FINLEY
PHOTOS BY ALEX WASHBURN
TRANSLATION BY WATARU NAKAMURA

WIRED NEWS (US)




 IFTTのミーティングルームの窓に描かれた落書き。

デンマークのコペンハーゲンにほど近いオーデンセにある、ケヴィン・アンダーソンの自宅は一風変わったつくりになっている。例えば毎朝、彼がベッドから出 ると寝室の照明が自動的に点き、廊下や家全体の照明も同様に点灯するようになっている。その後、彼が部屋を横切って体重計に乗ると、今度はキッチンのコー ヒーメーカーが自動的にコーヒーを作り始めたりもする。

アンダーソン氏の部屋にはモーションセンサーが備わっており、これがIFTTT(「If This, Then That」の略)というインターネットサーヴィスを介して家庭内の照明システムに接続されている。また、体重計とコーヒーメーカーを接続しているのもIFTTTのサーヴィスだ。 そしてこれらの仕掛けを利用するには一行のプログラミングも必要なく、アンダーソン氏がしたことといえば、いくつかの ハードウェアを購入して接続、IFTTTのウェブサーヴィスで各々がやり取りできるように設定しただけだという。

プログラマーとして生計を立てているアンダーソン氏だが、このホームオートメーションシステムを構築するにあたってプログラミング技術はまったくいらな かったという。「私はコーダーですが、IFTTTがあれば(ホームオートメーションシステムの)コードを書く必要はありません」(アンダーソン氏)

ネット接続された家電が家庭内に溢れるスマートハウスというアイデアは、もはや構想の段階ではない。「The Internet of Things(モノのインターネット)」とも言われるこういった仕組みや技術 により、すでにさまざまな消費者向けデヴァイスがネットに接続できるようになっており、またハードウェアハッカーのなかには、ネット接続のビール醸造システムや、七面鳥の丸焼きをつくるための温度管理システムといったツールを開発した者もいる。





通常、こういった仕組みを作る上では、かなりのコンピューターのノウハウが必要とされる。しかし、IFTTTは複数のウェブサーヴィスや機器をプログラミ ングなしで統合可能にし、この状況に変化をもたらしつつある。「われわれは、IFTTTが世界一シンプルなプログラミング言語になる可能性があると常に考 えていました」とIFTTT社のリンデン・ティベッツCEOは語る。「ただし、自社のサーヴィスをプログラミング言語とは呼びません。普 通の人々はプログラミングという言葉に拒絶反応を示すからです」(ティベッツ氏)


特定のタスク用に設計された「レシピ」



IFTTTを使うには接続したいサーヴィスを選び、どのように連携して欲しいかを指示するだけでいい。また、特定のタスク用に設計された「レ シピ」という機能を使うこともできる。これらのタスクはほとんどの場合、インターネット上のみで完結することが多い。たとえばフェイス ブック・ユーザーが投稿した写真を自動的にDropboxにアップロードされるよう設定したり、ブログへの投稿を自動的にツイートするような設定にするこ ともできる。しかし、IFTTTのサーヴィスは実世界にある多くの機器と連携するようになっている。そのなかにはジョーボーンの健康管理リストバンド 「UP」や、フィリップスの照明コントロールシステム「Hue」、Belkinの「WeMo」照明スイッチなども含まれている。

これらのデヴァイスを利用すれば、屋外の天候に合わせて室内の照明を自動的に調整することや、テキストメッセージで家電の電源を切ると いったことが可能になる。実際、アンダーソン氏の照明システムやコーヒーメーカーは、フィリップスのHueやBelkinのWeMoに接続されている。

ティベッツ氏は有名なデザイン会社IDEOでデザイナーを務めていた人物で、兄弟のアレクサンダー氏とIFTTTを創 業した。同社のプロジェクトはウェブサーヴィスではない実世界の製品を、人々がどのように利用しているかを考えることから始まったという。

われわれは何らかの製品を見ると、その物理的特性を見抜くことができます。そしてデザイナーが意図しなかったような 方法で使うことがしばしばあります」と彼は話す。「たとえば肩紐を見ればバックパックを背負うことができるし、携帯電話の重さを利用して文鎮代わりに使う ようなこともできます。われわれの目的は、こういった発想をデジタルの世界にも広げることです」(同氏)

ウェブアプリケーションは物理的特性を持たない。このため、ユーザーがその利用法を把握するのは容易ではない。しか し、IFTTTは各アプリにどんなことができ、それらをどのように組み合わせることができるかをはっきりさせることで、ウェブアプリを開発者の意図してい なかった方法で使うことを可能にしている。

IFTTTやオープンソースソフトウェアの「Hugin」、ビジネス向けサーヴィスのZapierなどは、人々が生活を定量分析したり、自動化したりできるようにする「Quantified Self」の流れを汲む代表的なツールになっている。この分野はビジネスの世界にも広がりつつある。たとえばオレゴン州ポートランドのモバイルデザイン/ 開発企業のCitizenでは、照明からエクササイズまで、従業員の生産性に影響するあらゆる要素を分析するシステムが 開発されている。

日本のクリエイティヴは、死ぬのか?:ある映像制作会社の挑戦

日本のクリエイティヴは、死ぬのか?:ある映像制作会社の挑戦


マンガ、アニメ、 ゲーム──圧倒的な存在感を示してきた日本人のイマジネーション。その勢いに「陰り」がささやかれるようになった。メディアの王たるテレビ局は視聴率下落 にあえぎ、ゲーム機の販売台数は伸び悩む。クリエイティヴの花形たる広告業界には、大手企業の経営不振が暗い影を落としている。クリエイターはこの危機を どう打開するのか。世界に名高い創造力は、この国の行く末を、明るく照らしてはくれないのか?

TEXT BY SHIN ASADA A.K.A. ASSASSIN @ TAWAMURE Inc.
PHOTOGRAPHS BY YOICHI ONODA




プラハを本拠地とする映像制作会社eallin。そのアジア拠点であるイアリン・ジャパンは、パペットアニメの老舗チェコと手描きアニメの雄たる日本という2つの国がルーツの、ハイブリッドカンパニーだ。東京のスタッフはいまのところ日本人だけだが、外国人もウェルカム。「いつもいい出会いを求めています」とは取締役プロデューサー笠島久嗣(写真右)の弁。


業界に風穴を開ける「チェコ帰りの日本人」

日本のクリエイターたちは随分と疲れている。制作費の単価下落に歯止めがきかない。つまり質より量を求められる。「魅せる」より「こなす」ことに終始す る。だから肉体的にも精神的にも追い詰められる。

クリエイティヴを元気にしたい。元気な会社に答えを求めたい。その声に応えてくれるのは、日本のテレビ業界に新風を吹き込む小さなディレクターズ・カンパ ニーだ。チェコで創業した映像制作会社eallin、その日本支部であるイアリン・ジャパンは今年で創業4年目を迎える。フジテレビの人気番組「ピカルの 定理」のオープニングアニメーションは、その斬新な映像感覚が評判を呼んだ。手がけたのは紛れもなく日本人。しかし並の日本人ではない。伝統的なパペット アニメーションで名を馳せるチェコで活動し、新たな感覚を手に入れた日本人クリエイターだ。彼らの仕事は、いわば“凱旋公演”である。

「どういう会社が日本にあれば面白いか……っていうところから始めています」

創業の経緯を話す笠島久嗣は、希有な切り口をもつイアリン・ジャパンの取締役、そしてプロデューサーだ。いわゆる気鋭のクリエイター。しかしおごりはみじ んも感じさせない。楽観的な言葉は口にしない。だからこそ、彼の言葉には耳を傾ける価値がある。





多彩な作風が魅力のeallin。特に東京のスタッフは「ビジネスとアートのほどよいバランス」がもち味。予算も時間も限られたなかで、しかも時差と格闘しつつ現実解として高い作家性を提供する。そのため、地理的デメリットを背負う日本人アニメーターは手描きの効率化が必須であり、直接画面に描画することができる液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD」は、その強い味方となる。画面に絵筆を走らせてくれたのは、アニメーションに定評のある看板ディレクター牧野惇。「思い通りの線が直接描ける直感的な操作と、デジタル化によって得られるトライアンドエラーの効率化は期待以上です」。


笠島久嗣はなぜチェコへ渡ったか

彼は学生時代にCG作品で映像コンテストのグランプリを受賞し、主催したテレビ局、それも東京のキー局へ鳴り物入りで入社した。経歴は誰の目にも華やかに 映る。しかし問題はその先にあった。企業の壁がもたらす閉塞感である。

「当時は自分のなかにCG制作を外注するという発想がなかったんです。得意不得意に関係なく、参考資料を漁って、ロゴのデザインやアニメーションを自己完 結でつくろうとした。昨日はシリアスなものを、今日はキュートなものを……といった具合に」

しかもテレビの消費サイクルは短い。放送が背負う宿命だ。つくったものは流れ、流れたものは用済みになる。

「とにかく時間がかけられない。短いと3〜4日、長くても数週間。クオリティは頭打ちになる。次第に自分のなかでいつも何かの劣化コピーをつくっていると いう感覚がだんだん強くなる。その生活が続くと、どうしても不安を感じますよね」

積み重なる閉塞感は6年で限界に達する。新天地へ渡り深呼吸したいという欲求に突き動かされ、笠島は移住を決意した。もともと語学留学や旅行を通じてヨー ロッパにはなじみがある。特にチェコは、住んでみたいと思わせる国だ。いちばん引かれたのは「色彩」。

「美的感覚って、風土とか歴史とか国民性に根差している。国旗の色も、赤道直下は赤くてカラフルですよね。だけど北へ行くにつれて青みが強くなる」

とりたてて就職のあてがあるわけではない。でも不安は感じなかった。むしろ焦燥感が、そして閉塞感が勝った。自分のクリエイティヴは進歩しているだろう か。同じ環境で延々と閉じこもり、感覚を鈍らせてはいないか。

「とにかく行って、暮らして、感じるだけでも無駄じゃないだろうと。就職できないとしても(笑)。まずは環境を変えたい。そう思ったんです」


垣根を越えろ!

笠島は渡欧してから就職活動を始め、創業間もないCGアニメーション制作会社eallinへの採用を勝ち取り、そのまま3年をチェコで過ごす。首都プラハ での日々は驚きの連続だった。

「日本にいたころは、イメージが近い作品や資料を参考にして、なんとか自分でつくろうとしていました。ところが向こうでは、それを創作した当人に連絡を入 れようとする。どこの国の出身で、どこに住んでいようが、『だってそいつが得意なんだから、そいつにやってもらうのがいちばんいいでしょ』という考え方。 ぼくにはまったくない発想でした。その手があったかと。でもよくよく考えれば当たり前だよなって感じで」

理想的な仕事仲間を広く探し、予算やスケジュールが合わなければ、諦めて別の策を講じる。ごく自然な考え方だ。それを社内で賄おうとすれば、真似ごとばか りやらされるとスタッフが気落ちしかねない。盗作の疑惑も生じやすい。まず垣根を越えるというスタイルは、いいことずくめに思えてくる。

地勢の影響もあるだろう。そもそもチェコのテレビ局は国営と民放合わせて4つしかない。国内の仕事だけでは頭打ちになるから、越境する感覚は磨いておくべ きだ。チェコに限らずヨーロッパのクリエイティヴは、会社の壁はおろか国境すらものともしない。だからクリエイターは英語を公用語とする。

「日本人ってコミュニケーションをスキルだと思ってますよね……あっちはそうじゃない。できて当たり前。それに、クリエイターとしてお互いをリスペクトす る姿勢がある。真似ごとじゃなくて一緒に仕事をしたい。つくり手同士でコラボレーションしたい、という欲求がある」

しかし日本ではそうならない。なりにくい。垣根はいつも意識する。島国という地勢のなせる業だとすれば、問題は根深い。






パペット、手描き、CG。アナログとデジタルを有機的にリンクさせる手法が彼らの強みだ。


段取りがない!

あるとき笠島はディレクターとして、現地撮影スタッフを率いたミュージックヴィデオの撮影に取り組んだ。その驚くべき作法に彼は肝を冷やし、自分が日本人 であることに改めて気づく。

「普通、撮影の段取りを仕切る人(ラインプロデューサー、あるいはプロダクションマネジャー)って現場にいますよね。撮影の規模にもよりますが、あっちは いないことがよくあるんです。しかも段取りの資料が絵コンテくらいしかない。それでも『お前は監督だから、体ひとつで来い』って言うんです」

半信半疑で現場に向かった笠島は、目を白黒させる。

「当日行ったら、じゃあどうするってみんながぼくに聞いてくるんですよ!? 怒りますよね。言ってくれたら、資料つくったのに!って(笑)。ところがそう じゃない。どうする、っていうのは段取りのことじゃないんです。何をどう撮りたいか。ぼくのヴィジョンを聞いてるんですよ。で、伝えるとワーっとみんな動 き出す。プロ意識をもった人たちが、その場で判断していく」

書類で決められた通りに行動し、失敗のリスクをなくそうとする日本の現場。書類を用意せず、経験とひらめきに期待するヨーロッパの現場。その違いは明らか だ。「信頼しているんですよね。縦割りの雰囲気がない。末端まで、全員が自分の考えで動くんです。お前アレするな、コレするなっていう指示がまったく聞こ えてこない」。

チェコの現場は理想に違いない。スタッフ一人ひとりの意識が高ければ、ディレクターが用意した書類のイマジネーションを超えて、結果は何十倍にも膨らむ。

他方、日本流ならば仕事は無難にこなすことができる。だが裏を返せば、段取りの重視はスタッフの軽視だ。指示書さえ守れるなら人は誰でもいい。そういった 発想につながりかねない。段取りよりも、まず信頼ありき。期待ありき。つまり「人ありき」がチェコ流だ。


とにかく楽しむ!

ここまで聞けば、チェコのクリエイターはとびきり優秀か、並外れて勤勉なのかもしれないと邪推させられる。だが決してそうではない、と笠島は苦笑する。

「みんな、あんまり働きませんよ(笑)。食事に出かけてそのまま帰ってこなかったり、昼間っから酒飲んだりしてます。なのに、終わってみると完成品の質が 高い。よく見ると、前の夜すごく飲んだはずなのに、朝8時からバチっと来ていたりする。不思議ですよね。プロ意識が高いのは間違いない。でも時間で仕事を 管理しないんですね。日本でいう勤勉とはちょっと違う。やりたくてやっている。好きでやっているから結果がいいんでしょうね」

遊びと仕事を切り分けるのが日本流なら、遊びも仕事も地続きなのがチェコ流。ことクリエイターに限り「遊びを仕事にしている」という前提があれば、地続き のほうが際限なくクオリティは上がる。逆に、拘束された時間内はめいっぱい働きます、というもっともらしい主張が、チェコではプロ意識と見なされない。職 業としての誇りを「時間」ではなく、「最終的な結果」で測ろうというのだ。

やがてチェコの首都プラハに端を発する小さな企業が、世界の4都市にスタジオを構える大きなプロダクションへと成長する。笠島はその成長を体感できる立場 にいた。経営の責任者ルカーシュ・スカルニークは欧米やインドへ飛び市場の開拓に奔走。制作の責任者マルティン・ホボルカは引き受けたオーダーに対し本国 で制作物を仕上げる。垣根を越える。互いを信頼する。いつも楽しむ。すべてが有機的に作用し、質の高いクリエイティヴが世界を駆ける──笠島はそのさまを 眺める幸運に恵まれた、日本人の目撃者となった。







 2013年はイアリン・ジャパンにとって飛躍の年だ。国外のプロジェクトへ積極的に取り組むべく、エースの牧野惇は海外駐在を視野に入れる。その穴を埋めるべくスタッフを拡充、事務所も移転した。日当たりがいい純白のオフィスは、きっと彼らの成功をあと押しするだろう。


どういう会社が日本にあれば面白いか?

笠島は3年でチェコから帰国。ごく自然な流れで「eallinのアジア拠点を立ち上げる」というアイデアに至り、日本での起業を決意する。独立採算という 甘えのないスタイルだが、プラハで意気投合した日本人留学生(手描きアニメーションを得意とする牧野惇)の存在は心強い。テレビ局時代の仲間にも声をかけ 2010年に業務を開始。以来実績を重ね、最近ではテレビ以外のジャンルへ進出するという目論見も叶った。業績の推移は極めて堅調といえる。

成功の下地には「垣根を越える」スタイルがある。日本国内の依頼を日本人ディレクターがこなす基本形に加え、海外に打診して、各国オフィスに登録済みの外 国人ディレクターと協業することも可能。逆に海外のオフィスから依頼を受け、日本人ディレクターが国外へ打って出るケースもある。結果としてテイストの豊 富さが、幅広い営業ルートを生み経営に貢献する。

理想的な響きだ。あくまで理屈のうえでは。しかし現実は厳しい。国内のプロジェクトを海外のディレクターで消化すれば利益は手元に残らない。日本人ディレ クターが競争を勝ち抜き、主体的にプロジェクトを担うことが必要だ。つまり国際基準での比較に晒されるプレッシャーは、スタッフ一人ひとりに重くのしか かってくる。

ところがイアリン・ジャパンのオフィスに重苦しいムードはない。日本人のクリエイティヴは素晴らしい。クオリティは高い。自信をもて。楽しめ。笠島の檄が スタッフを鼓舞し、支えているからだ。彼は断言する。日本人に不足しているのは才能ではなく「チャンス」のほうだと。

「映像コンテストの受賞者は毎年のように現れる。みんな優秀です。輝くものがある。でも就職してしばらくすると、なぜか“歯車”になってしまう。一方、海 外にはピカピカしたものを伸ばす仕組みがあって競争はあるけれど幸福に暮らしている。日本人をその土俵に乗っけていきたい。市場に向けて、ちゃんとパイプ を通したい」だから笠島は営業の労力を惜しまない。それも正攻法ではなく「蛇の道は蛇」を実践する。例年フランスの映像祭へ出向くが、名刺交換程度では仕 事にならないという。

「ブースを借りてテーブルを並べて、ポスター貼って……待つ。それじゃ全然ダメですね。どこの地域にも、コネクションを束でもつキーマンがいる。そういう 人が集まるパーティとか、カンファレンスを調べて、その場へ出向いて直につながる。eallinはそうしてきた」

何かを大きく変えたいわけじゃない。ただパイプを通せと彼は言う。もちろん、配管に水を流す力は必要だ。

「クリエイティヴの質以前に、日本にいるのはハンデです。北米からもヨーロッパからも遠いので、時差の壁がすごく大きい。打ち合わせは困難だし、飛行機代 は予算に響く。そのうえ英語が苦手なんて言ったら、誰も仕事なんてくれない。意識は変えていく必要があります。コミュニケーションを才能というなら、才能 は必要という言い方になる」

奇抜なアイデアよりも、まず対話。彼の下で働くクリエイターには、違った意味での覚悟が必要だ。なのに、ほかの会社を辞めて参加する者があとを絶たない。 皆が流儀に引かれてやってくる。ここに未来があると、期待している。

会社の将来像は? イアリン・ジャパンをどうしていきたい? そう問いかけると、笠島は「この場が健全に維持される」という言葉を使う。つまり、利潤追求 の姿勢をとらない。

「会社より、一人ひとりが幸福かどうかです。クリエイティヴは自己評価がとても大事。仕事をやり遂げるたびに、幸せだと自分自身で思えるかどうか……みん なで毎日ワイワイやって、とにかく楽しんでもらうしかない」

好きだから仕事に選んだ。楽しいからクオリティは上がる。それがクリエイティヴの原点。だからプロジェクトの中身にこだわる。面白みのない、稼ぐための仕 事には手を出さない。

「こういう時代ですから、いまの若い人は苦労するって覚悟はできている。大金もちになりたいとか、一発当てたいとかそういう夢じゃなくて、精神的な満足感 を重視している。そういう時代に創業した。どういう会社が日本にあれば面白いか、というところから始めた。その思いに集まってくれている。だから、その期 待には真っすぐ応えてやりたいんです」

時代は変わった。右肩上がりではなくなった。あらゆる業界が疲弊するなか、その煽りを食らってクリエイティヴは青息吐息。しかし打開策はシンプルだ。笠島 はそれを教えてくれる。

面白そうな仕事があれば人は集まる。そこに活気が生まれる。だから「パイプを通す」べきだ。革新的であれ、しのぎを削れ、などと脅す必要はない。ただ配管 をやり直す。きれいな水源から流れを引き直す。そうすれば誰でも息を吹き返す。文字通り、水を得たサカナとなる。


笠島は2回だけ「間違いない」と口にした。

イアリン・ジャパンの活躍はまぶしい。

だがその手順は奇抜だろうか。成功は偶然だろうか。誰にも真似はできないだろうか? 保証しよう。笠島久嗣は大言壮語のお調子者ではない。自分を特別では ないと言い切る、極めて冷静で自己評価の厳しい男だ。だからこそ凡庸な者をうなずかせ、だからこそ未熟な者を鼓舞する力がある。言葉の選び方にも人柄がに じみ出ていて、断定的な物言いをすることはあまりない。その彼がインタヴューで2回だけ「間違いない」と口にした。1.日本のクリエイティヴを世界が求め ている。2.住む場所としては日本が最高である。この2つは「間違いない」という。チェコ帰りの、慎重な男がそう結論している。ならば、そういうことだ。 答えは自明というわけだ。しかも、あらゆるクリエイターにとって「等しく」自明に違いない。

さて、どこから──水を引こうか。