水曜日, 6月 01, 2016

「映画 日本刀」|movie

刀剣女子が熱視線「映画 日本刀

ネットによる活動資金の募集で目標額を6日間で達成

 

「映画 日本刀」では奈良県無形文化財の刀鍛冶、月山貞利の匠の技も追っている

 

刀剣女子のパワー、恐るべし。国宝など25振りの名刀を紹介した「映画 日本刀~刀剣の世界~」が公開されている。“史上初の刀剣映画”と話題にな り、宣伝など映画の活動費をクラウドファンディング(ネット経由で不特定の賛同者から資金を集めるシステム)で募集したところ、目標額の200万円をわず か6日間で達成。賛同者限定の名刀見学会には、多くの女性ファンが詰めかけるなど刀剣女子の関心を集めている。


「映画 日本刀」の支援者を対象に行われた日本刀見学会には多くの「刀剣女子」が詰めかけた東京・日本橋の「コレド室町」


東京・日本橋室町の商業施 設「コレド室町」で5月20日に行われた賛同者限定の見学会。中央のガラスケースに鎮座しているのは、映画にも出てくる近藤勇所有と伝わる「阿州吉川六郎 源祐芳(あしゅうきっかわろくろうみなもとすけよし)」など名刀2振り(個人蔵)だ。それを取り囲んで熱い視線を送る女性たち、クラウドファンディングで 2万円以上を出資した約15人の支援者だ。



感想を尋ねると、「日本刀を見るために全国を回っています」「日本刀は日本のもの作りの精神が 凝縮している」と熱い言葉が返ってきた。見学会で解説を担当した日本刀文化振興協会の河端照孝・特別相談役は「女性にまで刀剣の魅力が伝わって裾野が広がることはいいことだ」と目を細めた。




12日に行われた完成披露試写会では、参加者120人のうち95%が女性だった。終映後のアンケートの回収率は100%で、びっしり感想を書いていたものもあった。2015年に日本刀を擬人化したゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」のヒットがきっかけで、「刀剣女子」と呼ばれる女性ファンが急増。これを受けて「映画 日本刀」では、「刀剣乱舞」で平安時代の刀工・三条宗近の作である国宝「三日月宗近」の声を演じている声優、鳥海浩輔がナレーションを務めている。


「映画 日本刀」の大内達夫監督


監督の大内達夫は「個人的に普段は見られない刀剣を大きなスクリーンで見てみたかった」と語る。この作品は「明石国行(あかしくにゆき)」「童子切安綱(どうじきりやすつな)」などの名刀を紹介するだけでなく、持ち主となった武将のエピソードにも触れ、現代に伝わる刀鍛冶師や刀研磨師の技も丹念に追っている。大内監督は「名刀が背負っているストーリーを紹介しつつ、現在も作られている刀の匠の技を見せることで叙情的な作品になった」と手応えを語る。



「映画 日本刀」では人間国宝の刀剣研磨師、本阿彌光洲の丹念な仕事が見ることができる

「映画 日本刀」で紹介される「童子切安綱」(東京国立博物館収蔵)

「映画 日本刀」で紹介される「明石国行」(刀剣博物館収蔵)


刀の撮影は苦労したという。「被写体としての刀は細くて長くて光っているのでカメラで撮りにくい。1振りに最低2時間かけて撮っています」。
もともと刀剣ファンではなく、「愛好家たちのためのものというイメージがあった」と明かす。「ただ勉強してみると面白い。日本人が誇りとすべき美意識や考え方、思いが込められている。日本人の象徴的な美術品ということは意外と知られていない。この映画で日本人が知られざる日本の良さに気づくきっかけになれば」



長谷川裕介プロデューサーによると、海外での映画祭への出品や上映も予定している。この映画がきっかけとなって、海を越えて刀剣の魅力がさらに広がりそうだ。








 

『映画 日本刀 ~刀剣の世界~』公式サイト

http://www.toukenmovie.jp/