さすがに「会って話をしないと仕事は進まない」とこのご時世に言い張る人は少なくなったが、人と人が言葉を交わしあうことの価値は決して無くなることはない。微妙なニュアンスや臨場感、そして感情の表現など、テキストやスタンプでは伝えられない人間らしいコミュニケーション手段の一つといえるだろう。

LINEもそもそも “通話” を本丸としてきたし、最近、高音質通話技術「VoLTE」を携帯通信キャリアが導入を進めている。そして、クアッドシステムは2014年11月13日、高音質の通話が可能になる無料のアプリ「SkyPhone」を正式に発表した。これは、VoLTEを凌ぐ超高音質を売りとする音声通話アプリだ。

同社は、リモートデスクトップ技術の再先鋒企業で「TrueRemote」や「Brynhildr」等のリモートデスクトッププロダクトをリリースし、日本人で唯一のマイクロソフトMVP (Most Valuable Professional) アワード プログラムの「Remote Desktop Services」部門を3年連続受賞している金子雄一 氏率いるスタートアップだ。
アプリはiPhoneとAndroid版が無料で提供されており面倒な登録手続きは不要。インストール後、このサービス専用の12桁の番号を取得すればすぐに通話できるようになる。

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一見、「一般電話や携帯電話と通話できるの?」と思うかもしれないが、現時点ではSkyPhoneユーザー同士のみしか通話はできない。チャットやスタンプの機能もなく、いわゆるスマホに標準で添付されている電話アプリと同じ機能しかないが、他の類似サービス同様、ユーザー数に応じて随時拡充していく考えはあるようだ。
実際に通話してみると確かに音質の高さは特筆ものだ。標準でノイズキャンセリングがONになっているため、そのままでは「綺麗な音質」程度だが、OFFにするとあらゆる環境音までもが伝わるようになる。筆者の場合、iPhone5Sと低スペックのAndroid端末でテストしたのだが、高性能の機種同士ならもっとクリアになるだろう。

アドレス帳は一切サーバーに送信されず、通話は端末同士で直接

高い音声クオリティ技術は、そもそも前述のリモートデスクトップに導入して高い評価を受けたCD音質の伝送技術がベースにある。チーム内の専門家が数ヶ月に渡ってチューニングした末この完成度であり、今後もデバイスなどの変容にあわせて品質はよりよくなっていく期待がある。

このアプリのよさは技術力だけではない。ミニマルかつシンプルなコンセプトが追求されており、結果として初回起動時のユーザー登録が不要で1タップで専用番号を取得して使用開始できるほか、必要と思われる機能が最小限の形で実装されているのが印象的だ。商売上の余計なことは一切しない。結果として、アドレス帳をサーバーに送付するようなこともない。通話自体は端末同士で行っているためプライバシー保護の側面でも安心感がある。

クアッドシステム代表の金子 氏は今後の抱負をこう語る。
「2014年2月頃からテスト運用として序々にユーザーを集いつつ、反応を見ながら音質や安定性を高めていました。通信とか圧縮で進歩し、合格ラインに達したと判断できました。これまで私達が手がけてきたCD音質で通話するアプリは見たことはありませんでしたが、それ以上のインパクトがあると思います。今後のサービス拡充についてはユーザーが増加してみないとわからない部分もありますが、聴いてもらわないとイメージできないプロダクトだと思いますので、是非使って体感して頂ければと思います」。






【関連URL】
・SkyPhone シンプル・簡単操作の無料通話アプリ
http://www.skyphone.jp/ja/