土曜日, 9月 19, 2015

Bentley Bentayga|Bentley

ベントレーのSUV「ベンテイガ」登場|Bentley

ベントレーのSUV「ベンテイガ」登場|Bentley

Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ

SUVの頂点を極める

ベントレーのSUV「ベンテイガ」登場

今年1月のデトロイト モーターショーで、「ベンテイガ」という新型SUVの車名を発表したベントレー。ついに9月15日開幕のフランクフルト モーターショーで、その全貌があきらかにされた。コンセプトカーの「EXP 9 F」で予告されていたとはいえその迫力あるスタイリングと現行市販SUVの最高峰を標榜するパフォーマンスは、まさにスーパーラグジュアリーブランドであるベントレーにふさわしいものだといえそうだ。

どこをどう切り取っても堂々たる4ドアのベントレー

登場予告から、どれほどの時間が経っただろうか。しかしそんな、待たされた時間さえも、このスタイリングとパフォーマンスの前では無意味に感じることだろう。ベントレーの新型SUV「ベンテイガ」が、ついにフランクフルト モーターショーで全世界初公開されたのだ。
ベンテイガは、ベントレー初の市販SUVというだけでない。フロントに最高出力608ps(447kW)、最大トルク900Nm(91.8kgm)を発生する6.0リッターのW12ツインターボエンジンを搭載し、0-100km/h加速が4.1秒、最高速度に至っては301km/hを誇る、文字どおり世界最強・最速のSUVなのである。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
ベンテイガの予告編となったのは、2012年のジュネーブ モーターショーで発表されたコンセプトカー「EXP 9 F」だ。エクステリアは、このEXP 9 Fをベースに、よりベントレーの現行ラインナップにちかい意匠を採用。ファミリーのDNAを強調している。
ボンネットからつづく大きなフロントグリル、内側にヘッドライトを備えた大小4つのヘッドライト、20-22インチサイズのホイール、そして大きく膨らんだリアフェンダーなど、どこをどう切り取っても堂々たる4ドアのベントレーそのものでしかない。
SUVにしては長く伸びたリアのオーバーハングを採用するが、このオーバーハングは蹄鉄をモチーフとしたベントレー特有のデザインで、ベントレー初となるテールゲートは自動で開け閉めが可能になっている。テールゲートとリアフェンダーにまたがるテールライトは、ベントレーの頭文字である“B”の形に光るグラフィックを採り入れ、実際の点灯の際にはかなり目を引くはずだ。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
また、ベンテイガでは、パノラマサンルーフが標準装備され、サンルーフ全表面の約60パーセントとなるガラスの面積は1.35平方メートルにもおよぶという。ルーフにはオプションでアルミ製ルーフレールも装着可能。100kgまでの荷物を積載できるようになっている。
こうした特徴をもつボディのサイズは、全長5,141×全幅(ミラー除く)1,998×全高1,742mm、ホイールベースは2,992mmと発表された。4ドアのデザインを採用することもあって、もちろん「コンチネンタルGT」よりはひとまわり大きいが、おなじ4ドアモデルである「フライングスパー」よりは全長が約150mm短く、ホイールベースも70mm短い。そのいっぽうで、オフロード走行用に引き上げられた最低地上高によって車高は250mm以上も高い、1,700mmを越えるものとなっている。ちなみにその最低地上高は、最大245mmまで上昇させることも、さらに、乗り降りしやすいように、アクセスレベルに車高を落とすことも可能だ。



12パーセントも燃費向上させたW12エンジン

ベントレー初SUVということで気になるパワートレーンは、前述のとおり最高出力608ps(447kW)、最大トルク 900Nm(91.8kgm)を発生する6.0リッターのW型12気筒直噴ツインターボエンジンで、じつに1,250-4,500rpmのあいだで最大ト ルクを発生させつづける。このエンジンに組み合わされるのは8段ATで、オフロード走行に求められる高いトルクに対応できるようトランスミッションと全輪駆動システムを強化したという。どんなシュチュエーションであってもなんの躊躇もなく、2,422kgのウェイトをもつボディを、軽々と高速域まで運ぶはずだ。
大型SUVにしては軽量ともいえる約2.5トンのウェイトは、軽量なアルミの使用や最先端製造技術の組み合わせで達成したもので、これは従来の車体構造よりも236kgの軽量化にあたるとベントレーは説明している。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
新設計のW12エンジンは2種類の噴射方式を組み合わせ、大幅な燃費向上を果たしたほか、二酸化炭素排出量が292g/kmという優れたエミッション性能を合わせもっている。
これには、一定の条件下でエンジンの半分の気筒を休止させ6気筒エンジンとして稼働させる可変シリンダーシステムやスタートストップテクノロジーのほか、高速道路などで5速から8速で走行中にアクセルペダルを戻したときにトルクコンバーターを切り離しエンジンがアイドリング状態となり、惰性で走行するシステムが大きく貢献。従来エンジンよりも、11.9パーセントもの燃費向上を実現した。
ベントレーはラグジュアリーブランドのなかでもこれまでも積極的に4WDを採用しているため全輪駆動自体にいまさら驚くこともないが、初のSUVとして注目される4WDシステムは、車高、減衰力、ロール制御、エレクトロニックスタビリティ&トラクションコントロール、エンジン、ドライブトレーンの各種設定をすべて「ベントレー ドライブダイナミクスモード」の回転式コントローラーで一元管理、簡単にセッティングを変更できるようになっている。走行シーンに応じて変更できるドライ ブモードは、オンロード用4種類、オフロード用でも4種類と、これまでのSUVにはない充実ぶりを見せる。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
オンロード用では、スポーツ、コンフォート、ベントレー(担当エンジニアが考えたスポーツとコンフォートをバランスよく組み合わせた設定、カスタム(ドライバーの希望に合せて各システムを個別に設定可能)の4種類が、オフロード用には雪道、草道/土道、砂利道/泥道、小道/砂道の4種類が用意され、サスペンションは、走行モードに応じた4種類の車高があらかじめ設定されており自動的に選択されるほか、車速に合わせた車高調整もおこなわれる。高級車の乗り心地と安全性、SUVの走破性を実現するために、シャシーは現在実装可能な電子デバイスのまるで見本市のような充実ぶりである。
もちろん、エレクトロニック スタビリティ コントロール(ESC)や進化したマルチモードのトラクションコントロール(TCS)にくわえ、いまやSUVには欠かせないヒル ディセント コントロール(HDC)も搭載。HDCは、5パーセントを超える勾配であれば、前進時、後退時とも、2km/hから30km/hのあいだで速度を設定できるようになっている。さらにオフロード用の走行モードでは車高や走行モード、縦傾斜、横傾斜、ステアリングアングル、標高、コンパス方位といった情報がドライバー インフォメーション パネルに表示されるので、車両の状況が掴みやすいのもベンテイガのセールスポイントのひとつだろう。
ベントレーのSUV「ベンテイガ」登場|Bentley

いつでもどんな場所でもラグジュアリー

インテリアは、ベントレーの名に恥じない吟味された素材とクオリティの高いデザインが、その世界観を無言のうちに伝えてくる。上質な本革やリアルウッドパネル、さらには金属を用いて質感の高いキャビンを構築。ダッシュボードがほぼ左右対称となるダブルウィングのデザインにさほどの目新しさはないが、ベントレーのカスタマーが望むはずのラグジュアリーな空間がSUVの室内にも広がっている。
ドライバーインフォメーションパネルのメーター類は、液晶式ながら細部まで丁寧に作り込まれ、これまでのアナログ式の質感を見事に表現。フロントガラスに映るヘッドアップディスプレイも採用されている。
金属メッシュが特徴的なスピーカーグリル、立体的なデザインの時計、細かなローレット模様が刻まれたギアセレクターなど、職人技ともいえるディテールは、このクルマが紛れもなくベントレーであることを表現している。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
シートはベンテイガ専用設計で、滑らかなレザーとダイヤモンドキルト模様のレザーとを組み合わせたデザインを採用。仕様に応じて16通りまたは22通りの電動による調整が可能で、さらにクッションとバックレストボルスターも調整式としているほか、マッサージ、シートヒーターそしてベンチレーションには6種類のプログラムを設定している。
室内に4人乗りと5人乗りの2種類を用意し、オプションでリアゲート内に2座を追加することも可能だ。4シート設定の場合、後席はそれぞれ18種類の調整が可能で、マッサージ機能とベンチレーション機能が付属、フロントシートの背面にウッドパネル製ピクニックテーブルを取り付けることもできる。ウッドパネル製のリアコンソールには、カップホルダーや大容量の収納スペース、充電用のUSBコネクタなども装備。いっぽう、5シート設定の場合は、リアシートをフラットに倒してラゲッジスペースを拡大することも可能だ。


ラグジュアリーSUVの先鞭となる一台

フロントガラスとサイドガラスには、合わせガラスのあいだに遮音性のある中間層を設けたアコースティックガラスを採用し、SUVクラストップの静粛性を実現。フロントガラスの内部には目に見えない金属層があり、この金属層がヒーターの役割を果たすという。この金属層は、太陽光の入射を防ぐ働きもあり、陽射しの強い日も車内の温度上昇を抑え、快適な室内空間を約束する。スーパープレミアムブランドらしい装備のひとつである。
メインディスプレイに8インチタッチスクリーンを備えたインフォテイメントシステムは、車載メディア用ストレージとして60GBのSSDを搭載。リアシートエンターテイメント搭載車には、100万個以上のAndroidアプリにアクセスできるBentley専用のインターフェースを備えた、10.2インチのフルHDディスプレイAndroidタブレット端末も2台付属する。このタブレット端末では、車載式4G Wi-Fiを介して車外との通信をおこなえ、後席のクライメート設定のほかインターネットラジオや各種ストリーミング放送も楽しめる。
これらに組み合わせられる標準のサウンドシステムは10スピーカー/6チャンネルだが、12スピーカー/12チャンネル、700 Wアンプのシグネチャーシステムへのアップグレードも可能。さらにその上を望むなら、SUV最高レベルとなる20スピーカー/21チャンネル、1,950Wアンプ、スーパーツイーターを装備する「ベントレー プレミアムサウンド システム」も選べる。
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
ベンテイガは、1台1台、英国クルーにある本社の熟練工の手によって製作される。ボディサイドに使用されるアルミパネルは自動車用アルミプレスとして世界最大となる一枚板で、おなじくアルミ製となるフロントフェンダーは、500度で空気圧成形するスーパーフォーミング加工によって製作され、継ぎ目のない彫刻のようなフロントエンドをもたらす。17色を用意するボディカラーのペイントは、新設されたペイントショップにおいて1台1台手作業で塗装をおこない、鏡面仕上げが施される。
このボディカラーはもちろんのこと、レザーやウッドパネルを多用したインテリアも、ベントレーのカスタマイズ部門「マリナー」にリクエストすればさらに選択肢は増える。予算さえ用意できれば、世界でたった1台の仕様を造りあげることも、もちろん難しくはない。すべてが手作業によって作り上げられるベンテイガは、1台が完成するまでにじつに約130時間を要するという。
今回発表されたW12エンジン搭載車につづき、今後、ディーゼルエンジンモデルとハイブリッドモデルも登場する予定というベンテイガ。アストンマーティンやロールスロイスランボルギーニ、さらにはマセラティジャガーと いた老舗ラグジュアリーブランドが大挙してSUVの開発・販売を表明するなかにあって、その先頭を切ってSUVをリリースするベントレーの動向は、全世界が注目している。これまでにないラグジュアリーSUVが今後続々と誕生する、これは記念すべきその歴史的な第一歩なのである。

デザインはもうちょっとなんとかならなかったのかな?

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Bentley Bentayga |ベントレー ベンテイガ
ボディサイズ|全長 5,141 × 全幅 1,998 × 全高 1,742 mm
ホイールベース|2,992 mm
重量(EU)|2,422 kg
エンジン|6リッター W型12気筒 ツインターボTSI
最高出力| 447 kW(608 ps)/ 5,250-6,000 rpm
最大トルク|900 Nm / 1,250-4,500 rpm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD(前40:後60)
サスペンション 前/後|マルチリンク / マルチリンク
ブレーキ 前|400mm ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|380mm ベンチレーテッドディスク
タイヤ|275/50R20(オプションで285/45R21、285/40R22)
最小回転半径|6.2 メートル
トランク容量|430-590 リットル
0-100km/h加速|4.1 秒
最高速度|301 km/h
燃費(EU combined)|12.8 ℓ/100km(およそ7.8 km/ℓ)
CO2排出量|292 g/km