月曜日, 11月 02, 2015

アンディ・ウォーホルと版ズレと

アンディ・ウォーホルと版ズレと

Andy Warhol

シルクスクリーンにおいて欠かす事のできない人物、アンディ・ウォーホルについて書いていきます。


Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)

アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホルは、ポップアートの旗手の一人で、大量生産、大量消費社会をテーマに表現し、
生活に身近なものや、誰もが知っている有名人を素材にし、芸術を大衆と身近な存在にした人です。
元々は商業デザイナーなので、クライアントを大衆に置換した際、何がウケるのかを察知しやすかったのかもしれません。
アンディがテーマにしたのは、スープ缶であったり、バナナであったり、ホルスタインであったり、花であったり、身近にあるものです。
それをアートに変換した時に、そういえば作品を見るまで注意深く観察した事がないなと気付かされ、
本質はこんなに美しいものだったのかと、今まで何も思わなかった価値観を生ませます。
その他、マリリンモンローやエルヴィス・プレスリー、エリザベス・テイラーなどの有名人もモチーフにしました。


ヴェルヴェット・アンダーグラウンド  Elizabeth Taylor

andy-warhol-skull 
   
Cow Yellow on Blue Background

elvis-presley

warhol-andy-beethoven3
 ドル

作品は、どれもインパクトがあり、エッジがたっていて、分かりやすいです。



シルクスクリーン

silk screen

アンディ・ウォーホルは、作品を量産する為に、シルクスクリーンを多用しました。
シルクスクリーンは大量生産に非常に適している印刷方法です。
その上、細かいインクの色も選べます。とても発色がいいです。金、銀など特殊なインクも使えます。
上記作品の色と発色は、シルクスクリーンの特徴といえます。
ポップアート界の頂点にいるアンディ・ウォーホルが、シルクスクリーンを多く使用した事と、その作品のインパクトから
シルクスクリーンの認知度が上がっていきました。


アートとデザインの境界線のぼかし

アンディ・ウォーホルは、自らの工房をファクトリー(工場)と名付け、作品を大量生産する為に労働者を雇用しました。
量産し、たくさん流通しました。その事で、高尚と思われていたアートの垣根をグっと低くしました。
これにより、アートとデザインの境界線を曖昧にしました。
経済発展の最中のこのようなポップアートのムーヴメントは必然であったと思います。
本人は、「芸術に対してロマンチックな幻想が全くない、ただの職業だ」と、クールな考え方のようでした。


版ズレ

Andy-Warhol-Campbell-Soup-Can

これはキャンベルスープ缶の作品です。4種のタイポグラフィとレイアウトデザインと色使いが美しいと感じて題材にしたと考えられます。
アンディは、モチーフの作品を、様々な種類で繰り返しつくっています。

campbell-soup-andy-warhol キャンベルスープ


色彩を変えたものもあります。トマトスープではなく、オニオンスープやチキンスープなどもあります。破れてる作品もあるし、整列し一枚に何十個も描いてある作品、アクリルで描いた作品や、ステンシルの作品もあります。

上記作品で、大きな特徴なのが、「版ズレ」です。
シルクスクリーンで大量生産目的で印刷しています。その際、版ズレが起こり、色がズレてしまう事も起こります。
通常は精度が低いので価値が下がるこの「版ズレ」を、アンディは、逆に利用し、他には無い「一点物」へ昇華させてしまっています。
「商品」ではなく、「作品」だからこそ出来る、素晴らしい機転です。
これは、アンデトローゼもしている事で、「一点物」の価値を高める為に意識的に「版ズレ」を起こしたりします。
アンディウォーホルで最も有名な、マリリンモンローも「版ズレ」をおこして価値を上げています。

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アメリカン・ポップ・アート展に行き作品を直接見て思った事

アンディの作品がたくさん展示してあると聞いたので、

2013年8月7日~10月21日に国立新美術館で行われた、アメリカン・ポップ・アート展に行ってきました。
アメリカン・ポップ・アート展は、アンディ・ウォーホルだけではなく、ロイ・リキテンスタインなどの作品もおいてありました。
その中で、キャンベルスープ缶を見たのですが、そのキャンベルスープ缶は版ズレは一切無く、精巧につくられていました。
それとマリリンモンローの作品、この作品は版ズレをしていたけど、
ホクロの部分が、綺麗な正円でした。それもカラーで重ねた部分だけが。かなり衝撃的でした。
この二点で確信したのは、やはり版ズレは意図的に行われているという事です。
ポップ・アート展に行く前までは、納期や工員などの作業効率上
やっつけ仕事的で版ズレになったんじゃないかなと思っていた部分もありました。
実際に見て色々感じ取れました。




大量生産、大量消費社会のカウンター

ポップアートが誕生した60年代。それから50年近く経ちます。
アンディ・ウォーホルの作品は好きだしとてもかっこいいです。
60年代の頃と比べ、技術が発展し生活水準が上がり、
そして、真剣に地球環境を考えていかなくてはならない時代になりました。
実際はまだまだ大量生産、大量消費の世の中です。
大量生産をされるべきものもたくさんありますが、
アンデトローゼは、一点物を中心に、良いものを大切に、永く着ていただけるように
精進していきたいです。


アンディ・ウォーホルとジョン・レノンアンディ・ウォーホルとジョン・レノン



 

 

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