水曜日, 10月 22, 2014

「核融合炉を1/10に縮小」ロッキード・マーティン社

「核融合炉を1/10に縮小可能」ロッキード・マーティン社


The magnetic coils inside the compact fusion experiment pictured in an undated photo provided by Lockheed Martin.
CREDIT: REUTERS/LOCKHEED MARTIN

ロッキード・マーティン社は、「出力100メガワットで、大型トラックの後部に入れられるサイズ」の核融合炉を、今後10年以内に実用化できる見通しがあるとしている。同社の動画も紹介。


TEXT BY JOHN TIMMER
VIDEO BY LOCKHEED MARTIN
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI, HIROKO GOHARA/GALILEO

ARS TECHNICA (US)

ロッキード・マーティン社の小型核融合炉プロジェクトに関する広報動画。
米防衛大手のロッキード・マーティン社が、核融合エネルギー技術でブレークスルーを達成し、合理的なコストでの利用を実現に近づけたと、ロイターが報じている。このブレークスルーによって、今後10年以内に小型の核融合炉(CFR:compact fusion reactor)が実用化される見通しだという。
報道と前後してロッキード・マーティン社が出したプレスリリースは、「ブレークスルー」の内容にほとんど触れていない。同社はただ、初期研究の結果、5年以内に試作品を完成させられる見通しだと述べている。そして順調にいけば、小型核融合炉が「早ければ10年以内に開発、実装」される可能性があるという。
一方、「Aviation Week」に掲載された技術記事は、ロッキード・マーティン社が取り組んでいる小型核融合炉の設計について、いくらか詳細に踏み込んでいる。それによると、基本コンセプトは、高出力のレーザーを小さなターゲットに照射する方式(レーザー核融合)ではなく、プラズマを磁場で閉じ込めるという方式であるという点で、トカマク型の核融合炉に似ている。ただし、容器の形状がトカマク型とは異なっており、同社の研究チームによると、より効率的だという。
しかし一方で、記事は次のようにも述べている。「チームは同プロジェクトが最初期の段階にあり、実用可能な試作品をつくれるようになるまでには、まだ多くの重要な課題があることを認めている」。だとすれば、なぜ急に積極的な広報活動を始めたのだろうか。ロッキード・マーティン社は、今後の開発に必要な資金を提供してくれるパートナーを探しているとも述べており、おそらくはそれが理由だろう。
※核融合炉は、超高温で超高真空という条件が必要で、実験段階から実用段階に至るすべてが巨大施設を必要とするため、莫大な予算がかかるとされてきた。しかしロッキード・マーティン社リリースによると、同社の技術は既存技術の1/10サイズと小型化されており、そのため試作品の作製と試験が容易という利点があるという。ロイター記事によると、同社は「出力100メガワットで、大型トラックの後部に入れられるほどの核融合炉が製造できるめどが立った」と述べたという。